魔物対策部隊のお話 EPISODE4〜大淀&那河編〜

作:デュール


「はぁ・・・・事件って言っても、情報が少なすぎる・・・・」
「多分自分でやれと・・・・いうことじゃないの?」
ため息をつく大淀
「そ・れ・よ・り・もぉ〜大淀ちゃん、かっわいいなぁ〜」
突然抱きつく那河、大淀のバランスが崩れかける
「うわぁっ、那河抱きつくなって、バランスが・・・わわっ」
転びかける大淀、だが転ぶ感覚が無かった。
「・・・・あれ?」
「あの、大丈夫ですか?」
転んだはずが、1人の少女に抱きかかえられた。
「あ、はい大丈・・・・・ってあええぇぇぇ!!!」
真っ赤になりながらすぐ立ち上がる大淀
「あら・・・赤くなって・・・・大丈夫ですか?」
「え〜・・・あ〜・・・・はい!!ダイジョウブディス!!」
最後は日本語になっていなかった。
「恥ずかしがり屋なんですね・・・」
「あっ・・・・失礼しました・・・」
赤くなりながらも謝罪する大淀
「いえいえ・・・・ここは初めてでしょ?」
「あ、はい・・・・まだ慣れなくて・・・」
大淀の顔はまだ赤かった。
「いいんですよ、最初は慣れないのは当たり前です・・・一度私の家へ連れて行きましょうか?」
「そうですね・・・・初めてですし、お言葉に甘えさせてもらいます」
「じゃあついてきてください・・・あ、そうだ私の名前はコヨイと申します・・・・」
といいながら2人はコヨイについていった。



「こちらです・・・お茶を出しますね」
と言いながらコヨイは台所へ行った。
「ふぅ・・・・情報が聞き出せるようになってよかったわね、大淀ちゃん〜」
「あぁ・・・・ってその呼び方止めてくれないか?」
「え〜?何で〜?」
「いや・・・・なんていうか・・・・恥ずかしいから・・・」
顔を赤くする大淀、そこに付け込みにやにやする那河
「恥ずかしいだなんて・・・・そんなの慣れよ、慣れ」
「そう言われたって・・・・」
「あの・・・・」
「え?あっ・・・はい!!!」
コヨイが来たのに驚き何故か立ち上がる大淀
「え・・・と」
「あ・・・・すみません・・・・」
「いいんですよ・・・・あ、ジュースになっちゃったけど大丈夫かな?」
「あ、大丈夫ですよ・・・」
と言いながらジュースを那河に渡す
「また後で・・・地図とか色々と探してくるので・・・」
「あ、そうですか・・・・色々とすみません・・・」
コヨイはまた別の部屋へと消えていった。
「じゃあ、いただきまぁ〜すっと・・・・んぐっ・・・・」
「ん?」
一啜り目・・・それ以降は何も反応が無かった。
「おい・・・・那河?」
呼びかけても反応が無い、そして・・・・

ガシャン!

那河の手からコップがこぼれ落ち・・・割れた。
「おい、何やってるんだ、那河・・・・え?」
大淀は那河の異変が今すぐ分かった。
那河の身体はぴきぴきと音を立てながら氷の膜に包まれていった。
「なっ・・・・これは・・・・」
口が開きっぱなしのまま凍りついていった那河、口の中や腕からは氷柱が張っていた。
「那河が・・・・凍って・・・・」
「ふふっ・・・・その通りよ・・・・」
「え?・・・・キッサ・・・さん?」
さっきまでの優しい表情の面影は無く、ただ欲望だけに忠実な少女になっていた。
「この国の住人はね固まっている少女や動かなくなっている少女を見てるとね、興奮しちゃうのよ・・・」

「じゃあ・・・・まさか・・・・」
「そう、犯人は私達ってとこかな?さぁ・・・・貴女も固まっちゃいなさい!」
一歩前進するコヨイ、そして一歩下がる大淀・・・かと思いきや、途中でずっこけてしまった。
「あだぁ!!!・・・・いてて・・・・」
「え?・・・・・嘘・・・・男ぉ!?」
「え?・・・!しまった」
本来ばれない筈だった完全女装姿がカツラが取れることによって、正体がばれてしまった。
「あ・・・・あぅ・・・・あぅ・・・・」
「・・・・へ?」
「ぎゃぁーーーーーー男は嫌!嫌!嫌ぁぁぁぁーーーーー」
「え?・・・え?・・・えぇ??」
急に暴走を始めるコヨイ、そして箒を持ち
「叩き殺しちゃるぅぅぅぅ!!!!」
「え?・・・・ちょっ・・・・箒で人叩き殺せるのぉぉぉ!!!」
「あ・た・り・ま・え・よぉぉぉぉ!!!この箒の錆になった男は何百、何千人といるのだからぁ・・・・」
「こ・・・・・怖ぁ・・・・ってうわぁ!」
とっさの判断で避ける大淀、箒で攻撃を続けるコヨイ
あまりの箒捌き(?)で大淀は避ける事だけに精一杯だった。
「早すぎる・・・・これじゃあ攻撃すら出来ない・・・・」


そのころ、コヨイの家の前に一人の少女、キッサが立っていた。
「・・・ん?」
窓を見ると、男女がなにやら争っているようだ、もちろん大淀とコヨイの二人
「あっちゃぁ・・・・遅かったかぁ・・・」
ため息をつき、すぐさまコヨイの家に侵入するキッサ


ばちぃぃん!
精一杯で剣を出して、攻撃のチャンスをうかがおうとしたが剣が跳ね除けられ、今まさに死の瞬間だった。
「さぁ・・・・この箒の錆になりなさい・・・・ふふふふっ」
(もう・・・・終わりか・・・・それにしても、短い人生だったなぁ・・・)
箒が大淀に向かって飛んでくる、彼の瞳にはスローモーションで迫ってくる。
(思えば僕って小説家希望だったんだよな・・・・でも、この家の事情でこの部隊に入ったんだよなぁ・・・・しかも女装で・・・・はぁ・・・最後でもよかったから、小説一冊分は書きたかったなぁ・・・・)
そう思いながらあきらめを表すかのように目を閉じる。
「はぇ!!!」
いきなり間抜けな声がした。
「・・・・・・え?」
ゆっくりと目を開ける、大淀の身体には何も起こっていない、むしろ無傷だった。
その代わり、目を回しながら倒れているコヨイと、キッサがいた。
「僕・・・・生きてる?」
「生きてるわよ・・・・代わりに凍りつくけどね?」
「えっ?」
大淀に向けて冷凍光線を放つ、まともに浴びた大淀は一言も言う隙も無く凍りに閉ざされた。
「さて・・・この子はどうしようかな・・・・?私専用の特別保存庫に入れた方がよさそうね・・・・」
そういいながら、凍りついた二人を軽々と運んでいった。

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